マーベロン®
服用者向け情報提供資料
OCのリスク
「OCの一般的なリスク」
Q15. OCの一般的なリスクとは?
OCをのみ始めてから1~2ヵ月の間は軽い不快感(吐き気、頭痛、乳房の張りなど)を感じることがありますが、通常はのみ続けるうちにおさまります。一般的には、OCの安全性は高いと考えられますが、長期間服用されることから一層の安全性が求められています。
また、不正性器出血(月経と月経の間の出血)、経血量の変化、乳房痛、嘔吐、片頭痛などがみられることもあります。このような症状がひどい場合や長く続くときは医師に相談してください。
「OCの重大なリスク」
Q16. OCの重大なリスクとは?
頻度は少ないものの、生命に関わる重大な副作用として血栓症(手足・肺・心臓・脳・網膜などの血管内に血のかたまりがつまる病気)があらわれることがあります。血栓症の主な症状があらわれた場合には、OCをのむのをやめて、すぐに救急医療機関を受診してください。また、血栓症が疑われる症状があらわれたり、血栓症がおこりやすい状態になった場合にもOCをのむのをやめて、すぐに医師に相談または受診してください。なお、医療機関を受診したときは、「服用者携帯カード」を提示するなどしてOCを服用していることを医師に伝えてください( 血栓症が疑われる症状など、詳細はQ20を参照してください)。
Q17. 血栓症とは?
血液の「かたまり」を血栓と呼び、この血栓により血液の流れが悪くなった状態を血栓症といいます。静脈血栓症は手や足、眼の静脈に発生しやすく、それがはがれて肺動脈につまる肺塞栓症がおこることもあります。
一般的に静脈血栓症の発症率は、OCを服用しない人の場合1年間で10万人あたり約5人ですが、OCを服用するとリスクが3.25~4倍高くなるという外国の報告があります。また、そのリスクはOCを服用し始めた最初の1年間に最も高くなるとの報告があります。さらに、初めてOCの服用を開始したときだけでなく、OCの服用を4週間以上中断した後に服用を再開したときや、4週間以上中断した後に別のOCへ切り替えたときにも静脈血栓症のリスクが上昇し、そのリスクは服用開始後3ヵ月間が特に高いという外国の報告があります。ちなみに、妊娠による静脈血栓症の割合は1年間で10万人あたり60人といわれています。
動脈系、たとえば、脳動脈に血栓ができると、いわゆる脳血管障害の一つである脳梗塞がおこります。また、心臓の動脈に血栓ができると狭心症や心筋梗塞がおこります。血栓症が疑われる症状や、血栓症がおこりやすい状態についてはQ20を参照してください。
Q18. 心臓発作と脳卒中とは?
心臓発作の代表的なものは、 狭心症と心筋梗塞です。狭心症は、胸がしめつけられる感じ、胸が強くおさえつけられる感じ、胸の奥がじーんと痛む、などの症状が発作的(ある限られたときだけ)におこります。心筋梗塞の症状は狭心症に比べ、はるかに強く激しい胸の痛みなどが急におこります。狭心症や心筋梗塞が発症するリスクは、非喫煙者であれば、OC服用によって増加しないと考えられています。
脳卒中は、脳の血管が破れたりつまったりする病気です。指先がしびれたり、舌がもつれて思うようにしゃべることができなくなったり、時には、記憶や物の認識に異常をきたすことがあります。脳卒中による症状は、脳の障害を受ける部分が人によって異なるため、一様ではありません。
Q19. OCとたばこの関係は?
OCを服用している期間中にたばこを吸うことは、静脈血栓症、 肺塞栓症、 心筋梗塞、 脳卒中などの副作用をおこしやすくすることが知られていますので、必ず医師に相談してください。
特に35歳以上の人が1日15本以上たばこを吸うと、これらの副作用が増加するといわれていますので、このような人はOCの服用ができません。
Q20. 重大な副作用(血栓症)が疑われる症状を教えてください。

血栓症の早期発見のためにも定期的な診療を受けてください。
- ●次のような症状があらわれた場合にはのむのをやめてすぐに救急医療機関を受診してください。
手足…足の突然の痛み・腫れ、脱力・まひ
胸…突然の息切れ、押しつぶされるような痛み
頭…激しい頭痛
口…舌のもつれ・しゃべりにくい
目…突然の視力障害
など
次のような場合には、症状が軽くてものむのをやめてただちに受診してください。- ◉血栓症が疑われる症状があらわれた場合
足の痛み・腫れ・しびれ・発赤・ほてり、頭痛、吐き気・嘔吐など - ◉体が動かせない状態になった場合、著しく血圧が上がった場合、脱水の状態になった場合など
- ▷長時間同じ姿勢でいたり、水分が不足したりすると血栓症が起こりやすくなります。適度に体を動かしたり、こまめに水分をとるようにしましょう。
- ◉血栓症が疑われる症状があらわれた場合
- ●血栓症を疑って他の病院を受診するときには、この薬をのんでいることを伝えてください。
- なお、経口避妊薬の服用をやめた場合には、他の避妊法を使用してください。
Q21. OCを服用すると乳癌になりやすくなりますか?
1996年に乳癌に関する欧米の共同研究グループは、15万人を超える女性の調査データをあらためて分析し、OCを服用している女性が乳癌になる可能性は、OCを服用したことのない女性に比べて、やや高くなると報告しています。具体的には、10万人あたり34人といわれている乳癌を発症する女性の割合が、OCの服用により42人に増えることを示しています。
一方、2002年米国の共同研究グループは、OCを服用している女性と服用したことのない女性の乳癌発症率には差がないと報告しています。
なお、OC中止後10年間は乳癌リスクの上昇を認めなかったとの報告があります。
Q22. 乳癌の自己検診の方法を教えてください。
いくつかの方法がありますので医師に相談してください。たとえば以下の方法があります。
❶ 乳房の形はどうか
鏡の前に立って左右の乳房の形、大きさ、皮膚にへこみや盛りあがっているところ、乳首のへこみやびらんがないかをみます。立って両手を下げた姿勢、両手をあげた姿勢、横向き、前かがみと位置を変えてみます。

❷ 乳房にしこりはないか
あおむけに寝て人さし指、中指、薬指の3本の指先の腹を使って、乳房の外側から内側へしっかり滑らせるように動かします。上から下へ、乳輪から渦巻き状に外側へと広範囲に動かします。1回目は、軽く押さえた状態で、2回目は、少し痛みを感じるくらいに強く押さえて調べます。いずれも腕をあげたときと下げたとき、左右を同様に調べます。
❸ わきの下のリンパ節にしこりはないか、体を起こした状態で、人さし指、中指、薬指の3本の指先をそろえ、わきの下に入れ、胸のわきに沿って下のほうに滑らせ、しこりがないかをみます。

❹ 乳首から異常な分泌物が出ないか、左右の乳首を軽くつまんで搾るようにし、血液の混じった分泌物が出ないかどうかを調べます。

Q23. OCを服用すると子宮癌になりやすくなりますか?
子宮癌は大きく分けて子宮体癌(子宮内部にできる癌)と子宮頸癌(子宮の入り口にできる癌)があります。
WHO(世界保健機関)は1992年、OCの服用は子宮体癌になる可能性を減少させるが、子宮頸癌との関連性については明らかでないと報告しています。
最近の報告では、子宮頸癌のリスクがOCの服用期間によっては増加することがあるといわれています。子宮頸癌は、ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因であることが知られており、この予防に対して有効とされているワクチンがあります。また、HPVは性交渉により感染しますが、感染予防にはコンドームを適正に使用することが大切です。なお、定期的な検査により早期発見が可能ですのでOCの服用に関わらず定期的に検査を受けるようにしてください。
「OCのその他のリスク 」
Q24. OCを服用すると太ったり、ニキビができたりしますか?
ほとんどの人の場合、そのようなことはありません。
Q25. 良性の肝腫瘍とは?
癌(悪性腫瘍)ではありませんが、肝臓にできる良性の腫瘍です。良性肝腫瘍の発生は、女性ホルモン量、服用期間、年齢(30歳以上)にともなって高くなるといわれています。OCを長期間服用した場合の良性肝腫瘍の発生頻度は人口10万人あたり3.4人と推定されています。この良性肝腫瘍は発生しても症状がなく経過するため、腫瘍が大きくなり、破れたり出血したりすることがありますので、OCを2年以上服用している場合は検査を行うなど注意が必要です。