マーベロン®
服用者向け情報提供資料
服用中の注意
1. 副作用について
- この薬はのみ始めだけでなく、のんでいる間はいつでも血栓症(手足・肺・心臓・脳・網膜などの血管内に血のかたまりがつまる病気)になる可能性があり、生命に関わることがあります。血栓症について、次のことを医師から十分理解出来るまで説明を受けてください。
- ●次のような症状があらわれた場合にはのむのをやめてすぐに救急医療機関を受診してください。
手足…足の突然の痛み・腫れ、脱力・まひ
胸…突然の息切れ、押しつぶされるような痛み
頭…激しい頭痛
口…舌のもつれ・しゃべりにくい
目…突然の視力障害
など
次のような場合には、症状が軽くてものむのをやめてただちに受診してください。- ◉血栓症が疑われる症状があらわれた場合
足の痛み・腫れ・しびれ・発赤・ほてり、頭痛、吐き気・嘔吐など - ◉体が動かせない状態になった場合、著しく血圧が上がった場合、脱水の状態になった場合など
- ▷長時間同じ姿勢でいたり、水分が不足したりすると血栓症が起こりやすくなります。適度に体を動かしたり、こまめに水分をとるようにしましょう。
- ◉血栓症が疑われる症状があらわれた場合
- ●血栓症を疑って他の病院を受診するときには、この薬をのんでいることを伝えてください。
- なお、経口避妊薬の服用をやめた場合には、他の避妊法を使用してください。
- ●次のような症状があらわれた場合にはのむのをやめてすぐに救急医療機関を受診してください。
- 服用を開始して1~2周期の間は軽度の吐き気、乳房の張りなどを生じることがあります。また、周期の途中で軽度の出血を生じることがあります。いずれも通常は服用中に消失しますが、心配な場合や、その他にも身体に何か異常を感じたときは、医師または薬剤師に相談・報告してください。
2. 服用中に手術を受ける場合
服用中にやむを得ず手術が必要となった場合には、血栓症の予防について配慮する必要がありますので、手術を担当する医師に、経口避妊薬を服用中であることを忘れずに伝えてください(あらかじめ手術の予定がわかっている場合にも伝えてください)。
3. 定期的な検診
外国での疫学調査の結果、血栓症や乳癌、子宮頸癌の発生する可能性が高くなるとの報告があります。安全に服用するためには検診がとても大切です。この薬を服用する場合には、問診と検診(血圧測定、臨床検査、乳房・腹部の検査)を6ヵ月ごとに、婦人科検査を1年に1回以上、子宮頸癌検診を1年に1回受けるようにしてください。
また、糖尿病またはその疑いのある人は、医師に相談し定期的に血糖値などの検査を受けるようにしてください。
4. 乳癌の自己検診
乳癌を早期発見するためには自己検診が大切です。検査方法は医師の指導をあおぐか、「解説編」などを参考にしてください。乳房のしこりなどに気がついた場合は医師に相談してください。
5. 正しい服用方法
のみ忘れにより妊娠する可能性が高くなります。指示された服用方法を守ることが大切です。
6. のみ忘れた場合
万一のみ忘れた場合(マーベロン®28の場合、緑色錠を除く)、のみ忘れが1日であれば、気づいた時点でのみ忘れた1錠を直ちに服用し、さらにその日の分も通常どおりに服用してください。
すなわち、その日は2錠服用することになります。
2日以上連続してのみ忘れた場合は服用を中止し、次の月経を待って新しいシートで再び服用を開始してください。なお、この場合は妊娠する可能性が高くなるので、その周期は他の避妊法を使用してください。
7. 月経が来ない場合
月経が1周期来ないときでも、次の周期は通常どおり服用を続け、医師に相談してください。
2周期続けて月経が来なかったり、説明どおりに服用せずに月経が来ないときは、妊娠の可能性もありますので、直ちに医師の診察を受けてください。妊娠中の服用に関する安全性は確立されていないので、妊娠していないことがはっきりするまでこの薬の服用を中止し、他の避妊法を使用してください。
8. 下痢あるいは嘔吐が続く場合
激しい下痢または嘔吐が続く場合はこの薬の成分が吸収されにくくなり、妊娠する可能性が高くなりますので、他の避妊法を併用し、医師または薬剤師に相談・報告してください。
9. 他の薬などを使用する場合
- 経口避妊薬を服用する前から次のような薬を使用している場合、または経口避妊薬を服用しているときに他の薬を使用する場合は、必ず医師または薬剤師に相談してください。(ただし、塗り薬、目薬などは心配ありません。)
- ●副腎皮質ホルモン薬(プレドニゾロンなど)
- ●抗うつ薬(イミプラミンなど)
- ●抗パーキンソン薬(セレギリン塩酸塩)
- ●免疫抑制薬(シクロスポリン)
- ●気管支拡張薬(テオフィリン)
- ●消化性潰瘍治療薬(オメプラゾール)
- ●抗結核薬(リファンピシン)
- ●抗てんかん薬(バルビツール酸系製剤:フェノバルビタールなど、ヒダントイン系製剤:フェニトインナトリウムなど、カルバマゼピン、トピラマート、ラモトリギン)
- ●肺高血圧症治療薬(ボセンタン)
- ●過眠症治療薬(モダフィニル)
- ●テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリンなど)
- ●ペニシリン系抗生物質(アンピシリンなど)
- ●抗真菌薬(テルビナフィン塩酸塩、フルコナゾール、ボリコナゾール)
- ●性腺刺激ホルモン放出ホルモン(ブセレリン酢酸塩などGn-RH誘導体)
- ●血糖降下薬(インスリン製剤:インスリンなど、スルフォニル尿素系製剤:グリベンクラミド、グリクラジド、スルフォンアミド系製剤:グリブゾール、ビグアナイド系製剤:メトホルミン塩酸塩、ブホルミン塩酸塩など)
- ●疼痛治療薬(モルヒネ)
- ●消炎鎮痛薬(サリチル酸)
- ●HIV感染症治療薬(ネルフィナビルメシル酸塩、リトナビル、ダルナビル、ネビラピン、エトラビリン)
- ●解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)
- ●C型肝炎・C型肝硬変に対する抗ウイルス薬(グレカプレビル水和物・ピブレンタスビル)
- 経口避妊薬を服用する前から次の食品を摂取している場合、または経口避妊薬を服用しているときに次の食品を摂取する場合は、必ず医師または薬剤師に相談してください。
- ●セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
- *セイヨウオトギリソウ
ヨーロッパおよびアジアが原産のオトギリソウ科の多年草で山野に自生。エキスはドイツでは抗うつ薬として使用され、日本では、健康補助食品として販売されています。
10. 臨床検査を受ける場合
ある種の血液検査値は経口避妊薬に影響されることがありますので、臨床検査を受けるときは医師に経口避妊薬を服用している旨を申し出てください。
11. 臨床検査を受ける場合
経口避妊薬の服用を中止すれば妊娠は可能ですが、月経周期が回復するまで避妊することが望まれます。経口避妊薬で長期間避妊を続けた場合は、月経が回復するまでには少し時間がかかることがありますが、その場合でも通常は3~4ヵ月で回復します。
なお、3~4ヵ月経過しても正常な月経が回復しない場合には医師に相談してください。
12. 血栓症、癌に関する疫学調査
- 外国の疫学調査の結果、経口避妊薬を服用している女性の静脈血栓症のリスクは、服用していない女性に比し3.25~4.0倍高くなるとの報告があります。また、そのリスクは、経口避妊薬を服用し始めた最初の1年間に最も高くなるとの報告があります〔非服用者での血栓症の発症率は10万人あたり年間5人程度(外国)とされています〕。さらに、初めて経口避妊薬の服用を開始したときだけでなく、経口避妊薬の服用を4週間以上中断した後に服用を再開したときや、4週間以上中断した後に別の経口避妊薬へ切り替えたときにも静脈血栓症のリスクが上昇し、そのリスクは服用開始後3ヵ月間が特に高いという外国の報告があります。また、1995~1996年にマーベロン®の有効成分であるデソゲストレルを含む経口避妊薬は、レボノルゲストレルなどを有効成分として含む他の経口避妊薬に比較して、静脈血栓症を増加させる報告(レボノルゲストレルなどを含む経口避妊薬による静脈血栓症の患者が1年間で1万人あたり1人であるのに対してデソゲストレルを含む経口避妊薬では2人になる)があります。
ちなみに、妊娠による静脈血栓症の発症は1年間で1万人あたり6人といわれています。 - 外国の疫学調査の結果、経口避妊薬の服用により乳癌および子宮頸癌になる可能性が高くなるとの報告があります(乳癌:1.24倍、子宮頸癌:1.3~2.1倍)。乳癌の発症率は、10万人あたり34人(患者調査)と推定され、経口避妊薬服用により10万人あたり42.2人に増えることを意味します。また、子宮頸癌の発症率は、10万人あたり10人(患者調査)と推定され、経口避妊薬服用により10万人あたり13~21人に増えることを意味します。
- 外国で経口避妊薬を2年以上服用した場合、良性肝腫瘍が10万人あたり3.4人発生するとの報告があります。また腫瘍の破裂により腹腔内出血をおこす可能性があります。一方、悪性肝腫瘍(肝癌)の発生率は極めて低く、100万人あたり1人に満たないとの報告があります。
13. その他
コンタクトレンズを着用している場合に、異和感を感じたときは医師または薬剤師に相談・報告してください。